Aaki Hikaru

読書・自然 / 写真・語学・ドラマについて

【本】一穂 ミチ「光のとこにいてね」人生を変える運命の出会い

訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

今回は一穂ミチさんの「光のとこにいてね」の感想です。

一穂ミチさんの作品は、2021年に「スモールワールズ」吉川英治文学新人賞を受賞し、直木賞本屋大賞では候補に入り注目を集めました。

作品

タイトル: 光のとこにいてね

著  者: 一穂 ミチ

発  行:文藝春秋

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あらすじ

古びた団地の片隅で、結珠(ゆず)と果遠(かのん)は出会った。2人の少女は、裕福な家庭と母子家庭とで育ちは違ったが、歪んだ家庭環境という共通点があった。幼い2人は強く惹かれあい絆を結ぶが、ある事情で離れてしまう。四半世紀に渡り、別れと再会を繰り返した2人の成長と人生を描いた長編作。

感想

この作品は主人公 結珠と果遠の視点別に書かれているので、それぞれの気持ちを知ることができます。特に幼少期の2人の心情が印象的でした。とてもリアルでした。忘れていた懐かしい記憶がよみがえる感覚。第一章は幼い頃の自分の目を通して読むことができ、没入度が高かったです。

母親の事情に振り回され何度も引き離される2人ですが、その原因となる事情や「母と娘」の関係性も生々しくて、心が濁る。だからこそ2人の人生から目が離せず、読み進める手が止められませんでした。

はじめて

結珠は私立小学校へ通い毎日のように習い事に励みながらも、母親の顔色を窺い生きている。果遠は母親の強いこだわりや周囲への振る舞いが原因で、小学校にも団地にも友達がおらず孤独に生きていた。

そんな二人を強く結びつけたきっかけは ”はじめてではないかと思います。

幼い頃はたくさんの”はじめて”の経験がありますよね。

好奇心から自身で行動し得たり、テレビや視覚的にどこからか知ったりと多くのことを学びます。先生や両親から与えられる”はじめて”よりも、友達からもらう"はじめて"はまた違ったものであったような気がします。

彼女たちは、自分の生きているスペース(環境)では得られないような、望んでも手に入れられないと幼いながらに理解していた”何か”を与え合った。

喜びと自信

結珠は同年代の子供達よりも多くを知っていて、たくさんの事ができる子供だったと思います。果遠は逆に知らないことが多かったけれど、心が自由で強い子だった。

結珠がもらったはじめては「相手に教える喜び」

果遠がもらったはじめては「できる喜び(自信)」

時計が読めない果遠は、そんな自分を諦めていましたが、結珠に読み方を教わり変化します。二人が与え合ったものは、先の人生にも大きな影響を与え、勇気と支えになっていく。

私は果遠と自分を重ねました。自分に新しい世界を見せてくれた友達に対しては、今でも尊敬や憧れを抱いています。達成感とはまた違う、その瞬間に感じた喜びは忘れられません。

強く心に残るという点は、初恋と似た感覚なのかもしれません。

強さ

結珠との再会を強く願い努力してきた果遠ですが、母親のために結珠と過ごす時間を犠牲にします。

「お前は強くて優しいから、弱いお母ちゃんを捨てられない。捨てるのはいっつも弱い方なんだ」

思い返すと、私はこれまでいろんな場所から逃げる選択をしていたように思います。

自分が強ければ、離れずに今でも笑い合える関係にいたのかもしれないと思う人間が何人か頭に浮かびました。

光のとこにいてね

この「光のとこにいてね」というタイトルが好きです。作中に果遠が言います。

果遠の結珠に対する真っ直ぐ気持ちが詰まっている言葉です。

わたしがどんなに結珠ちゃんを支えにして、希望にして、結珠ちゃんに会いたかったか。その気持ちの重さを天秤に載せた時、反対側のお皿に「理屈」や「納得」を積んで釣り合いが取れなきゃだめなのかな。 果遠

抑えられない気持ち、原動力、そういった激しい感情には理屈が沿わないことの方が多い気がします。

理性的に考えても変えられない現状があるならば、少しだけ感情を優先することで未来を変えることが出来るのかもしれません。それは自分の望みに向かって歩くことにもなります。

自分に希望を与えてくれる、心を支えてくれる存在は大切ですね。例えば、推しとか。

関係性と未来

二人の関係性についてはよくわかりませんでした。大親友以上恋人未満。あるいは姉妹?とも言える。うん・・・言葉で表現できない。

 

ラストはうまく消化することができませんでした。

ワクワクする気持ちと、不安な気持ち。読者によって受け取り方が変わる終わり方だと思います。

 

初めてできた友達の記憶を思い出すことができた、良い読書時間でした。

今回の相棒

今日の香りは「シトラスウィンター」

これはストライクです。甘いようですっきりとした香り。

 

【本】町田そのこ「宙ごはん」母と子の成長の物語

ご訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

今回は、町田そのこさんの「宙ごはん」本屋大賞候補作の感想、紹介です。

町田そのこさんの作品は、2021年に「52ヘルツのクジラたち」が本屋大賞受賞しました。

作品

タイトル: 宙ごはん

著  者: 町田 そのこ

発  行: 小学館

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あらすじ

宙(そら)には、生みの親の花野と育ての親の風海がいる。小学生に上がる頃、花野と住むことを選んだ宙ですが、花野は子供をあまりかまわず、家事はしない、仕事と恋人を中心とした生活を送っていた。母親の一番にはなれないと悩み悲しむ宙を支えていたのは、花野の後輩でレストランのシェフをしている佐伯。彼は幼い宙の食事係であり父親代わり。辛い時にいつもそばにあったのは温かいご飯であった。

感想

成長という言葉を強く意識感じる作品でした。”親も子供と共に成長する”というのが大きなテーマとなっていると思います。宙は花野と過ごすうち、さまざまな疑問を抱きます。親子とは、愛とは何だろうと。

人は過ごす環境や、関わる人々に影響を受け、常に変化し人格が形成されていくということを、作品を通し改めて感じました。そこで答えのない疑問が浮かぶわけです。心の成長とはどこに向かうのが正解なのか。ゴールはどこ。その先は?

環境

有名な熟語で”孟母三遷の教え”があります。子供の教育には環境が大きく影響するという意味です。墓地のそばに住むと子供が葬式の真似事をし、市場のそばへ引っ越せば、商人の真似事をした。最後に学校のそばへ引っ越した時、子供が礼儀作法の真似事をしたので、教育に一番適した場所だと母親は思ったことから。

宙は花野と住むことで日々影響を受けることになります。

「ひとと付き合うってどんなもんなのかなって思ったから」

好意のない相手とお付き合いをしてみたり、別れてみたり。子供は親を見て考え行動し、学ぶ。

「ひとはどうして別れるんだろう。その理由がどうしても分からないから、わたしは自分で経験してみたかった。そしたら、何か少しでも理解できるかと思ったの」

宙は花野の影響で、早くからたくさんの感情と向き合うこととなってしまい、他の子供達よりも大人びていきます。

子供らしい無邪気な幼少期を過ごしたようには思えず、悲しい気持ちになりました。

少し心理描写が宙の年齢と合っていないようにも感じました。

成長

花野は子供の愛し方がわからない母親です。幼少期に置いてきてしまった感情を、宙や佐伯から受け取り学んでいきます。

どれだけ歳を重ねても、知らない感情に対応することは難しいと思います。それらの感情の意味を知識として持っていたとしても、今の自分の価値観との相性があると思います。簡単に受け入れることは難しく時間のかかることかと思います。

 

親も一人の人間。辛いことがあれば乗り越えるのに時間がかかるし、新しいことに挑戦する時は、足がすくむこともあると思います。どんな時でも親はグッと踏ん張り子供にその姿を隠し続ける。そして子供は成長とともに知ることになる親の強がりに偉大さを感じるのかもしれません。

赦さなくていい

前回読んだ町田さんの作品「ぎょらん」とに共通する「罪を償うこと」がテーマのお話が含まれていました。

「亡くなった人の家族はね、失った辛さや寂しさを乗り越えるのに精いっぱいなんだ。許す余裕なんてないし、そもそも赦す必要なんてない。だってそうでしょう?

・・・・どうしてその罪まで許してあげなくちゃいけないの」 花野

許しを請う謝罪は時に暴力になるということ。

 

hikaru-hua.com

 

まとめ

一人の幼い少女とその母親の成長を描いた物語でした。

私は私のものでありオリジナルだとそう思って生きています。

だけどこれまでに自分が誰と出会って、どんな心境の変化があって、どんな環境で何を得たのかとか、振り返ってみるのも面白いかもしれません。その積み重ね(経験)が今を作っているのだと改めて認識するきっかけを、この作品から貰いました。

自分がわからなくなった時は、振り返るのもいいかもしれません。

"過去を振り返るな"というけれど、迷子になった時は自分が歩んできた地図をなぞることで、何か大切なことを思い出すきっかけになるのかなと思います。

 

 

今回の読書の相棒

今回はゆずの香りです。小さい頃、祖母がゆずの皮をネットに入れてお風呂に入れてくれました。私にとってゆずの香りはリラックス。

 

 

 

【自然 / 写真】雲海記録「竹田城跡」【自然を表す四字熟語】

訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

季節外れの内容となってしまいますが、今回は去年11月に行った雲海の写真紹介です。

生憎の雨で、美しい雲海を撮影することはできませんでしたが、写真をInstagramに投稿したところ評判が良かったので、blogでも紹介することにしました。

竹田城跡」は"学者が選ぶ絶景"でも紹介されていました。

場  所 :  兵庫県朝来市和田山町竹田古城山 【竹田城跡】 

竹田城跡は標高353,7m古城山山頂に築かれた山城で、朝の霧が山頂(城跡)の周りを囲むように発生するため、雲海の中に浮かぶように見える姿から「天空の城」とも呼ばれているそうです。※天空の城の写真は撮れませんでした。

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Instagramに投稿した一枚。中間地点辺りで撮影。

妖怪が出そうな雰囲気ですよね。異界へと続く道のようです。和が香る幻想的風景で、とても気に入っています。

 

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不鮮明な写真ではありますが、先の見えない奥深さを感じる壮大な風景。墨絵のような美しさを感じます。



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雨が大ぶりになったので、頂上まで行くことは断念しました。ほとんど何も見えませんでした。これはもう・・・隠れて見えない「暗」の美学です。笑

 

私の世界

人は誰しも理想の世界を持っているのではないかと思っています。私の頭の中にある理想が詰め込まれた独自の世界は、だんだんと現実からかけ離れたものになっていく。

その世界は、頭で浸り癒しを得てもいいし、実現に向けて動くのもいい。

例えば、自分以外の人間がいない世界だったり、深い山の奥にある湖の中にある空間。夜の海の真ん中で波の音を楽しむ様子。深夜のオフィス街、高層ビルに囲まれ見上げる狭い夜空。下町のネオンと入り組んだ路地裏。

知り合いに理想の世界について聞いてみたいけれど、そんな事考えているのは私だけなのかと不安でと恥ずかしさで聞くことができません。

皆さんにはありますか?自分の世界。

「妖」や「幽」が入った四字熟語

今回は写真の雰囲気にあった四字熟語をご紹介したいと思います。

 

深山幽谷(しんざんゆうこく)

人が踏み入れたことのないような、人里離れた奥深い山や谷のこと。

 

妖怪変化(ようかいへんげ)

人智を超えた何か不思議な存在や現象。化け物のこと。

 

陰森凄幽 (いんしんせいゆう)

樹木や草などが生い茂っていて薄暗くてとても静かなこと。

 

魑魅魍魎 (ちみもうりょう)

さまざまな化け物のこと。山や河の怪のこと。

また、私欲のために人を陥れたり害を与える者のことを指す。

 

 

今年の雲海シーズンもいろんなところへ行ってみたいと思っています。

【本】町田そのこ「ぎょらん」生き方を見つめる

訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

2023年の初記事は、町田そのこさんの「ぎょらん」の感想です。

町田そのこさんの作品は、2021年に「52ヘルツのクジラたち」が本屋大賞受賞しました。

作品

タイトル: ぎょらん

著  者: 町田 そのこ

発  行: 新潮社

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あらすじ

死者が遺す赤い珠「ぎょらん」は、その者の”最期の思い”が形になったもの。それは受け取る生者にしか見ることができず、死者の肉体と共に消滅する。朱鷺(トキ)はある身近な人間のぎょらんを口にし、十年という長い月日を部屋に閉じこもり過ごしたが、母親の具合が悪くなったことをきっかけに社会復帰し、葬儀屋 天幸社に勤める。そこで出会う死者と向き合う人々の物語と「ぎょらん」の真相を巡る連作短編集。ぎょらんを口にした朱鷺は一体何を見たのか。「ぎょらん」とは一体なんなのか・・

感想

都市伝説のような「ぎょらん」の謎を追う話と同時に、身近な人間との別れを経験した人々が、深い悲しみを乗り越えていく人間ドラマが繊細に描かれています。

何度も胸が締めつけられました。人と人が心を通わせることの大切さ、接し方の重要性、自分はこの生涯をどのように終えるのか、そんな壮大な課題を得ることができました。

自分だけが知る罪

印象的だったのは、罪と後悔に苦しむ人々。償いたくても相手はもうこの世にいないという現実の中で、苦しみながらも支え合い生きた夫婦の話「夜明けのはて」

2人は「自分だけが知る罪」を共有していました。

「自分だけが知る罪」というのは、実際に相手を傷つけたのではなく、心の中で相手の不幸を願い、傷つけ、それが現実となって生まれてしまった罪の事。

 

あなたのせいじゃない。きっと何度だって言われただろう。だけどそんなこと、助けにならない。罪だと自分で分かっているものを他人に赦されても、救われるはずもない。 引用  「夜明けのはて」(『 ぎょらん 』より)

傷つけた相手に許されて初めて、自分を許すことができる。相手も知らない、自分だけが知る罪をどう償えば良いのか。

 

僕は、命に対する贖罪なんて突き詰めればできないと思ってる。一生をかけて自分なりの償い方を模索するしかない。自分の選んだ道が正しかったのか、ましてや許されるかなんて精一杯のことをして死んだ後にしかわからないことだ。引用  「夜明けのはて」(『 ぎょらん 』より)

たとえ罪を犯したとしても、生きている人間には、罪と向き合い償う時間がある。

 

いつ、自分が背負うことになるかわからない身近な罪。家から職場までの間に、頭の中で最低一度は、愚痴を垂れている自分が怖くなりました。

そこで「举头三尺有神明」「頭上三尺に神あり」という言葉を思い出しました。頭を挙げるとすぐ上に神がいて、良いことも悪いことも神は見ている、という意味です。信じるかどうかはさておき、意識しながら日々を過ごすことは結果的に自分や誰かを守る盾になるのではないかと思いました。

 

小話 初めての読書と”ごめんなさい”

「ぎょらん」を読んで思い出した懐かしい記憶。私が厚めの本を1冊まともに読み切ったのは、中学入りたての時でした。作品はアレックス シアラー著「青空の向こう」

幼い主人公が家族と喧嘩別れをしたまま事故に遭い死んでしまう。それから幽霊となって現世を旅するという内容だったような・・・。 ← 記憶曖昧です。

読み終わってすぐに、恐怖で本を捨てた記憶があります。こんなふうになりたくないし、死にたくない。当時は理解力に乏しく、悪いことをすると主人公のようになってしまうと誤った認識をしてしまったようです。それからは、とりあえず「ごめんなさい」を言う子になっていました。私の謝り癖はここが出発点だったようです。

今では謝罪に心がなくなり・・・原点を思い出しました。

ーー なんだか懐かしい読後感でもありました。

 

もし本当に「ぎょらん」があるとすれば、いつかその時が来た時、自分は大切な人の心に何を残してあげられるのだろうか。繰り返す毎日に何か変化を起こすきっかけになる一冊でした。

今回の相棒

今日の香りは金木犀金木犀の香りって心地よくて、少しだけ切ない気持ちになるんですよね。

【自然 / 写真】紅葉記録 「京都・天台宗 大原三千院」【秋の四字熟語】

ご訪問いただきありがとうございます。ひかるです。今回は2022年11月に行った紅葉レポートです。

雨あがりの秋空の中、味のある写真が撮れました。

場  所 : 京都 【天台宗 京都大原三千院

三千院は紅葉スポットではありませんが、祖母の希望で行くことになりました。

祖母は50年前にここを訪れたことがあり、思い出の場所だったそうです。 

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門の裏側を撮ってみました。

 

三千院ってどんなところ?

三千院延暦年間(782‐806)に伝教大師最澄比叡山東塔南谷の山梨の大木の下に一宇を構えたことに始まります。皇族が住持する宮門跡となりました。寺地は時代の流れの中で、比叡山内から近江坂本、そして洛中を火災や応仁の乱などにより幾度か移転し、その都度、寺名も円融房、梨本坊、梨本門跡、梶井宮と呼称されてきました。明治4年、法親王還俗にともない、梶井御殿内の持仏堂に掲げられていた霊元天皇御宸筆の勅額により、三千院と称されるようになりました。明治維新後、現在の地大原に移り「三千院」として1200年の歴史を紡いでいます。

天台宗 大原三千院  HPより

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有清園 (ゆうせいえん)。緑の苔の上に落ちる赤い葉も綺麗です。

 

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聚碧園(しゅうへきえん)廊下の窓から見たお庭の景色です。

 

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朱雀門。赤々しくて美しいです。

秋と孤独

私は四季の中で秋が一番好きです。

少し肌寒くなって、だんだんと木々が赤と黄に染まるこの季節、私は決まって孤独を感じます。夏の暑さで忘れていた孤独が、ゆっくりと顔を出してくる。頭に浮かぶのは、「なぜ、だから?どうして

それまで気にならなかった物事に意識が向かい出す。でも自分と語り合うその時間が結構好きだったりします。

めんどくさい、考えたくないと思うことは秋空の下で解決をする。朝薄暗い空を見上げてみたり、夜に真っ暗な空を見上げてみたり。冷た過ぎない心地よい秋風が、平常心を保たせてくれる。すっきりさせてくれる。

自分と向き合う時は、環境場所選びも大切だと思います。

 

「秋」に関連する四字熟語

秋天一碧 (しゅうてんいっぺき)

雲ひとつない秋空のこと。真っ青で、晴れた秋空。

 

秋風索莫 (しゅうふうさくばく)

盛んであった勢いが弱まり寂しいこと。秋風が吹き、もの寂しい様。

 

紅葉良媒 (こうようりょうばい)

紅葉がご縁の仲介人であるという意味。

中国唐の時代の故事が由来。落ち葉に詩を書いて、川に流したことが縁に繋がり、結婚したそうです。

 

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京都名産の千枚漬けを買ってみました。消費期限が一週間と短かったですが、その分スーパーなどで購入するものと違って、甘味が控えめでとても美味しかったです。

白米が進みます。おすすめです。

【本】凪良ゆう「汝、星のごとく」深く切ない物語

ご訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

今回は、凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」の感想、紹介です。

凪良ゆうさんの作品は、2020年には「流浪の月」が本屋大賞受賞、2022年には映画化されました。

作品

タイトル: 汝、星のごとく

著  者: 凪良 ゆう

発  行: 講談社

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あらすじ

自然豊かで海の美しい小さな島、人々の日常は噂となってあっという間に島中に知れ渡ってしまう。そんな不自由さを感じる小さな島で、家庭環境に問題を抱えた高校生 暁海(あきみ)と櫂(かい)。2人は同じ境遇から引かれあい、支え合い、強い絆と愛を育んだ。卒業後、夢を叶えるために島を出た櫂、島に残らなければならなかった暁海、2人の恋愛とそれぞれの成長、人生を描いた作品。

感想

この作品は主人公 暁海と櫂の視点別に書かれているので、それぞれの感情を知ることができる。視点が変わる度に先が気になって読み進める手が止まらなくなってしまう。

恋愛だけでなく ”家族関係”や”生き方”といった要素も強く感じさせるので深く胸に響く。

家族のしがらみによって島に残った暁海に敷かれた人生のレール、不自然に置かれた場所。このまま進むことが最善なのかと疑問を感じながら日々生きることへの葛藤。

思い描く未来への理想と、虚無な現実との差を感じ、自分を無力だと責めることをやめられない。抜け出したいけれど、手段がわからない、その場所へ飛び込むことが怖い。

そんな現実的な葛藤が深く描かれています。

同じ環境や経験を持つ読者を強く惹きつけ、最後には前向きな気持ちにさせてくれる作品。

家族

これは私の個人的に思ったことですが 、子供に悪い影響を与える親であっても、子が親と距離を置くことは難しい。

「血は水よりも濃し」と言いますよね。ドイツ語が由来で、血は水と違い蒸発ぜず凝固する。そして水よりも濃く重い液体だそうです。

深く切れぬ縁という意味では、愛情も憎しみも近いように感じます。

私は幼少期から、いい歳になるまで母親とは別々に暮らしていましたが、いつも心のどこかに存在を感じていました。

以前、母親から若かりし頃の色恋について話を聞いたことがあったけれど、どこか別世界の遠い話のように聞こえました。自分の親の恋愛事情となると、どうも感情を掴めずでしたが、作品を通して親も一人の人間であることを改めて意識させられました。

他人の目と自分の目

暁海の住んでいる小さな島は、常に他人の噂話が絶えず周りの目が気になる環境です。

私も常日頃、他人の目を気にして生きている人間です。今の行動動作は、あの人の目にどう映っただろうか。今言った考えは、相手にどう聞こえたのだろうか。

そんなことをいつも考えているものの、他人からの評価は「不思議ちゃん・変わった人・宇宙人」なので、無駄骨を折っています。私ってかわいそうですよね 笑

私から見ればあなた達が変わってると言いたいところですが、多少自覚があるし、その目や評価で得することも多いのでこの辺にしておきます 笑

__人々が思う”当たり前”や”常識”って何なんだろうか。

倫理観があることを前提として、「なんかよくわからんが周りがそうだから自分もそう思う常識」って数々あると思います。

当事者同士が納得して取り決めた事柄であっても、それが周りの人達の感覚とズレが生じれば、変わった人たちと受けとられることがあります。

人の目が気になってしまう理由の多くは、一人になりたくない、集団からはみ出す恐怖かなと思います。

他人の目や噂は、ときに味方になって”人生を生きやすくする”、ときには敵となって”人生を不自由”にする。

「自分の人生を生きること、他の誰かに許されたいの?」

引用 「汝、星のごとく」

恋愛と絆

夢を叶えるため島を出て成功し大きなお金を手に入れた櫂と、島に残って仕事を始めた暁海。互いに生きる環境が違い、仕事に対する考え方やお金に対する価値観を理解し合えなくなる。恋愛だけでなく、2人は辛い高校生時代を共に支え合ってきた絆がある。

それぞれが、互いの成長と変化に心揺らぐ中でどう決断をするのか。

自分がどうありたいかの選択権は、いつでも自分の中に在る 

引用 「汝、星のごとく」

櫂の暁海に対する想いが印象的でした。

愛の形はさまざま

人生を共闘する結婚。周りの友人や読書で得た知識から、いろんな愛の形を知りました。

私は生涯一人の男性と寄り添い、浮気は許さず、自分もしない、死後も来世も添い遂げるという考えの持ち主で、めっちゃ恐くて重い女です 笑

そのため凪良さんの作品には毎回、愛の刺激を受けまくっています。

わたしは愛する男のために人生を誤りたい。

引用 「汝、星のごとく」

私にとって、この作品はハッピーエンドではありませんでした。読者によって受け取り方が変わる終わり方だと思います。

まとめ

こんな人におすすめです↓

・泣ける恋愛小説が読みたい

・家庭環境に恵まれなかった

・自分の人生に悩んでいる

・他人の目が気になって辛い

 

どんな環境であっても、自分の人生を諦めてはいけない。

他人と自分を比べることより自分自身から目を背けてはいけない。

他人の目を振り切って、胸を張って自分の人生を生きることの大切さ。

今の自分に必要な本でした。

それにしても切ない・・・

【ドラマ】あまりに切ない物語【周生如故(ONE AND ONYL)】感想

ご訪問いただきありがとうございます。ひかるです。

今回は、華流ドラマ【周生如故 (ONE AND ONYL)】の感想です。

私が人生で一番泣いたドラマです。とにかく余韻が長く、深い悲しみが纏わりついた作品です。

作品

タイトル : 周生如故 (ONE AND ONYL)

原  作 : 一生一世,美人骨 ( 作家:墨宝非宝)

主  演 : アレン・レン(任嘉人)/ バイ・ルー(白鹿)                                  

原作は中国の作家 墨宝非宝の小説「一生一世,美人骨」。

現代編【一生一世】と、古代編【周生如故】の2作がドラマ化されています。

今回は、前世である古代編【周生如故(ONE AND ONYL)】について書きます。

※人名にフリガナを打っておりますが、私の感覚ですのでご了承ください。

※ネタバレになる可能性があるので、何も知りたくない方は注意ください。

登場人物・キャスト

漼时宜 (ツイ・シューイー) / 白鹿(バイ・ルー)

名門漼家の一人娘。皇太子と生まれる前から婚約をしている。

幼い頃に父親と離れることになり、ショックで失語症になる。

周生辰(ジョウシェンチェン)に弟子入りすることになるが・・

 

周生辰(ジョウシェンチェン) / アレン・レン ( 任嘉伦 (レン ジャー ルン))

前皇帝の弟。幼い頃に王族の名を放棄し”宮廷(中州)に足を踏み入れない”と誓いを立てていた。その後、軍を率い民のために辺境の地を守っている南辰王。優れた人格に「美しい骨(容姿)」を持っており、民から慕われている。

戦場で多くの功績を残しており、彼の強い力は宮廷内で、恐れられ警戒されている。

漼时宜 (ツイ・シューイー)を弟子に迎えることになるが・・

あらすじ

兄(皇帝)の訃報を受け取った周生辰は、宮廷がある中州へ戻ることを決意する。その頃、中州宮廷内では強い力を持つ周生辰が戻り、次期皇帝の座を奪うのではないかと危惧していた。戻った周生辰は彼らの警戒心を解くため、次期皇帝の前で"一生嫁をもらわない、子も残さない”と誓いを立てる。

そこで太博 漼广は宮廷、漼家、南辰王の良好関係を築く名目で、自身の孫娘である漼时宜を弟子に取るように頼み、周生辰は受け入れる。

弟子になった时宜は周生辰に憧れ惹かれていく。周生辰は宮廷との距離を保ちながらも、自分を慕う幼い皇帝(甥)を守り支持するが、周囲の思惑が渦巻き、権力争いに巻き込まれていく。

感想

視聴前から”涙なしには見られない、しんどい、涙が止まらない”と噂を聞いていたのですが、結果その通りで号泣しました。視聴後は放心状態でした。

英雄になるまでの道を描く感動作品は多くありますが、英雄がゆっくりと悲劇的道へ引きずり込まれる作品は初めて見ました。恋愛ドラマではありますが、私は”英雄の一生”を描いた部分に強く惹かれました。

誰一人として救われない結果でしたが、ただの悲劇では終わらず、心に悲しくも美しさを残す素晴らしい作品でした。続編がある事が救いです。

英雄の孤独

周生辰は家族である弟子達が10人、11番目の弟子である时宜。いつも周りに人がいるけれど、涙を流す時は静かに1人孤独。幼少期から軍を率い、何かを守るに徹してきた彼は、誰にも心の弱みを見せることはありません。ただ平和を願い闘い続けてきた彼に降りかかったラスト。

” 結局何のためだったの・・・”(时宜)

彼が苦しみ葛藤したのは何の為だったのか。

愛するということ

”ただ彼のそばにいたいだけ” 时宜は周生辰に対して多くを望んでいませんでした。

陪伴是最长情的告白という句を思い出しました。以前、海外の友達から教わりました。「ずっと側にいる事が、深愛の告白である」という意味です。元は小説からきた言葉のようですが、今ではドラマや歌詞にも使われているようです。

たとえ結ばれない恋だとしても、ずっと側にいる。家族、友達、愛する人にずっと寄り添う。愛情に時間は関係ないとは言いますが、人と人が長く関係を保つことは簡単なことではないと私は思います。とても素敵な言葉ですよね。

ここが見どころ

周生辰と时宜は、最後まで想いを伝え合うことはありません。2人が見せる表情、深い想いを秘めた眼差しは、悲しさと苦しみと僅かな希望がこもっていて、私の心を捉えて離しませんでした。周生辰は葛藤と愛しさを、时宜からは憧れと決意が伝わります。

2人共に落ち着いた役柄で、動きや表情を抑えて目で魅せる。素晴らしい演技でした。

演出

全体的に映像・音楽が美しいです。映像は壮大ですが、落ち着いた色に収まっていて、物悲しげで美しい。

私はこの作品を2回視聴しました。ラストを迎えた時に、最初の出会いのシーンに戻りたくなる衝動に駆られたからです。そういう演出なんだろうと思います。同じ衝動に駆られた方はぜひコメントください 笑

各所に色んなシーンが繋がるような演出が詰まっており、特に「雪と城上」シーンは圧巻です。

音楽・楽曲 OST

♪  如故 /  张碧晨  

   聴いてると思い出して泣きそうになります。

♪  如一  /  任嘉伦  (劇中歌)

   周生辰役の任嘉伦が歌っています。

♪    / 金玟岐  (劇中歌)

♪  定心 / 郑云龙  (劇中歌)  

♪  不沦 / 阿Yue Yue  (劇中歌)

YouTubeでも聴けると思うので、興味のある方はぜひ。

まとめ

↓こんな人におすすめ

とにかく思いっきり泣きたい

品のある恋愛ドラマが見たい

切ない気持ちになりたい

 

ついに日本に上陸します。”中国全土が泣いた作品”だそうです。

衛星放送さんで「周生如故」が12月に 1話 先行放送、2023年 1月から本放送開始

続編の「一生一世」は 2023年春頃から放送されるそうです。

 

”辰比一生  不负天下 唯负十一”(周生辰)

とにかく泣けます。これ以上の作品には出会えないと思います。