Aaki Hikaru

読書・自然 / 写真・語学・ドラマについて

【本】恒川 光太郎「夜市」幻想的で哀愁漂うホラー小説

 

読書の秋ですね〜

こんにちは、ひかるです。

今日はこの季節に合った小説、恒川光太郎さんの「夜市」(日本ホラー小説大賞受賞作)を読んだ感想を書いていきます。

「夜市」と「風の古道」の2篇が収録されていて、個人的には「風の古道」のほうが好きです。

小さい頃って、人気のない小道や獣道を探しては入ってみたりしませんでしたか?(私だけかな笑)

子供の頃ってそういうところに自然と引きつけられるんでしょうか・・・

「夜市」は2作ともに幻想的な世界に引き込まれ、どこか懐かしさを感じさせます。

作品を読んで思い出した、私のくだらない小話も書いてます。よろしくお願いします!

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あらすじ

夜市

主人公の裕司は小学生の頃に弟と二人で不思議な市場「夜市」に迷い込んでしまう。

そこでは妖怪たちが様々な品物を売っており、裕司は"あるもの"と引き換えに「野球の才能」を買った。

大きくなった裕司は、"あるもの"を買い戻すために、再び「夜市」を訪れるが・・・

風の古道

人間には見えない、世界中へと繋がっている道。道を通るのは人の世の者ではなくて・・

そこへ迷い込んだ主人公と友人は、ある男と出会い短い旅をする。道を進むそれぞれの目的と出会い、全てが繋がった時、衝撃の真実を突きつけられる。

感想

文章が頭に入りやすく読みやすいのに、奥深さを感じる!

涙腺が弱い私は、2作ともちょろっと泣きました。

幼い頃って善悪の判断は出来ても表面だけで、裏までは見えないだろうし、その判断の先に何があるかなんてわからないと思います。

ましてや異界にいるなんて、わからないと思うんです!いや・・大人でも無理ですね。私なら無理です。何も出来ません。逆に子供の方がこういう時には勇敢なのかもしれない。笑

だから発端となる出来事はどうしようもなく、避けられない事と言いますか・・

辛い別れもあり、物語の悲しさと寂しさを感じますが、舞台の幻想的な世界は美しい!!読後は、心に哀愁残る作品でした。

 

小話(猫神さま)

小学生の頃の話なんですけど・・・

当時、私の住んでいた地域は新築のマンションや一軒家が立ち並ぶ地域と、古民家が密集している地域が、大きめの道路を挟んで左右に分かれていたんですよ。

古民家の並ぶ地域の一部は、家と家の間に人が一人通れるような隙間があり、いろんな道へと繋がっていて、まるで迷路のようでした。

その日、いつものように親友のエミちゃんと下校していたんですけど、「エミの家の近くにめっちゃ猫がおる秘密基地見つけた、教えたる!」と言ってきたんです。

彼女は古民家側の地域の住人で、何度か遊びに行ったことがありました。外壁に囲まれた大きくて立派なThe日本の家みたいな感じです。

秘密基地を目指し歩く彼女は、自宅の門を通り越し、少し行った所で、向かいに並ぶ家と家の間の細い道へ入って行った。道なりに何度か曲がり、通り抜けるとマンホール程度の小さな広場に出たんです。

その先は、緑がお生い茂り、薄暗くじめっとしていて、雨が降った後のような青い匂いと木の香りがしていたのを覚えています。

ちょっと怖くなった私は、「こんなところにほんまに猫おるん?」と聞くと、「おるよ、ついてきて。あの木の下やねん」と彼女が指差した先には一本のビワの木。

よく見ると、目の前に小さな獣道ができていて、エミは迷わず屈んでぐんぐん進んで行っちゃいました。めっちゃ怖かったんですけど、帰り道もわからなくなっていたので、仕方なく半泣きで着いて行ったんです。

虫もたくさんいてゾワゾワしながらエミの背中を追いかけていると、突然立ち上がったので、あっ着いたんだなと思いました。

木の下には、古びた木の丸椅子、上に黒い猫がちょこんと座ってました。その下にも黒い猫が2匹並んで座っていて、視線を上げると目の前に小さなお庭があったんです。

数匹の猫に囲まれたおばあさんが縁側に座って、じっとこちらを見ていた。じっと立ってる私達に、おばあさんは手招きし「いらっしゃい、こっちおいで」と言ったんです。

その優しい笑顔を今でも鮮明に覚えています。

猫達も優しくて、私たち子供相手でもじっとして触らせてくれてました 涙

それから私たちは毎日「猫神さまと猫達」に会いに行きました。

けれど悲しいことに・・長く続かず・・

猫の毛を毎日大量につけて帰っていた私は、母親に問い詰められ、2人の秘密”猫神さま”について話してしまったんです。

もちろん、ブチギレられました・・・危ない道を通る事、知らない人の家に行くこともダメ!それから、あの人は猫神さまではなく、猫を飼っている優しいおばあさんなんだよとしつこく説明されました。

どうやらエミも親に同じような事を言われたようで、それから私たちはあの場所へ行くことはありませんでした。それから月日が経って小学校6年生になった私たちは、こっそりと猫神さまへ会いに行くことにしました。

すると驚いたことに、前に通っていた細い道の先が壁になっていて、あの緑の広場に出ることができなかったんです。その時、やっぱりあの人は猫神さまで、会いに行かなくなった私たちに怒って道を塞いでしまったんだ。絶対にそうだと!と当時は思っていました。

数年前、気になって行ってみたのですが、猫屋敷はありませんでした。

真相はわかりませんが、元々あそこは空き地になっていて、持ち主が空き地ごと家を建て替えたのではないかと思います。

当時は小さかったので、生えっぱなしの雑草が自分達よりも背が高く、周りの建物も見えず、不思議な森のように見えたのかもしれません。

でも、あのワクワクドキドキした体験は今でもいい思い出です。

 

終わり