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今回は、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』の感想、紹介です。
凪良ゆうさんの作品は、2020年には『流浪の月』が本屋大賞受賞、2022年には映画化されました。
作品
タイトル: 汝、星のごとく
著 者: 凪良 ゆう
発 行: 講談社
あらすじ
自然豊かで海の美しい小さな島、人々の日常は噂となってあっという間に島中に知れ渡ってしまう。そんな不自由さを感じる小さな島で、家庭環境に問題を抱えた高校生 暁海(あきみ)と櫂(かい)。2人は同じ境遇から引かれあい、支え合い、強い絆と愛を育んだ。卒業後、夢を叶えるために島を出た櫂、島に残らなければならなかった暁海、2人の恋愛とそれぞれの成長、人生を描いた作品。
感想
この作品は主人公 暁海と櫂の視点別に書かれているので、それぞれの感情を知ることができる。視点が変わる度に先が気になって読み進める手が止まらなくなってしまう。
恋愛だけでなく ”家族関係”や”生き方”といった要素も強く感じさせるので深く胸に響く。
家族のしがらみによって島に残った暁海に敷かれた人生のレール、不自然に置かれた場所。このまま進むことが最善なのかと疑問を感じながら日々生きることへの葛藤。
思い描く未来への理想と、虚無な現実との差を感じ、自分を無力だと責めることをやめられない。抜け出したいけれど、手段がわからない、その場所へ飛び込むことが怖い。
そんな現実的な葛藤が深く描かれています。
同じ環境や経験を持つ読者を強く惹きつけ、最後には前向きな気持ちにさせてくれる作品。
家族
これは私の個人的に思ったことですが 、子供に悪い影響を与える親であっても、子が親と距離を置くことは難しい。
「血は水よりも濃し」と言いますよね。ドイツ語が由来で、血は水と違い蒸発ぜず凝固する。そして水よりも濃く重い液体だそうです。
深く切れぬ縁という意味では、愛情も憎しみも近いように感じます。
私は幼少期から、いい歳になるまで母親とは別々に暮らしていましたが、いつも心のどこかに存在を感じていました。
以前、母親から若かりし頃の色恋について話を聞いたことがあったけれど、どこか別世界の遠い話のように聞こえました。自分の親の恋愛事情となると、どうも感情を掴めずでしたが、作品を通して親も一人の人間であることを改めて意識させられました。
他人の目と自分の目
暁海の住んでいる小さな島は、常に他人の噂話が絶えず周りの目が気になる環境です。
私も常日頃、他人の目を気にして生きている人間です。今の行動動作は、あの人の目にどう映っただろうか。今言った考えは、相手にどう聞こえたのだろうか。
そんなことをいつも考えているものの、他人からの評価は「不思議ちゃん・変わった人・宇宙人」なので、無駄骨を折っています。私ってかわいそうですよね 笑
私から見ればあなた達が変わってると言いたいところですが、多少自覚があるし、その目や評価で得することも多いのでこの辺にしておきます 笑
__人々が思う”当たり前”や”常識”って何なんだろうか。
倫理観があることを前提として、「なんかよくわからんが周りがそうだから自分もそう思う常識」って数々あると思います。
当事者同士が納得して取り決めた事柄であっても、それが周りの人達の感覚とズレが生じれば、変わった人たちと受けとられることがあります。
人の目が気になってしまう理由の多くは、一人になりたくない、集団からはみ出す恐怖かなと思います。
他人の目や噂は、ときに味方になって”人生を生きやすくする”、ときには敵となって”人生を不自由”にする。
「自分の人生を生きること、他の誰かに許されたいの?」
引用 「汝、星のごとく」
恋愛と絆
夢を叶えるため島を出て成功し大きなお金を手に入れた櫂と、島に残って仕事を始めた暁海。互いに生きる環境が違い、仕事に対する考え方やお金に対する価値観を理解し合えなくなる。恋愛だけでなく、2人は辛い高校生時代を共に支え合ってきた絆がある。
それぞれが、互いの成長と変化に心揺らぐ中でどう決断をするのか。
自分がどうありたいかの選択権は、いつでも自分の中に在る
引用 「汝、星のごとく」
櫂の暁海に対する想いが印象的でした。
愛の形はさまざま
人生を共闘する結婚。周りの友人や読書で得た知識から、いろんな愛の形を知りました。
私は生涯一人の男性と寄り添い、浮気は許さず、自分もしない、死後も来世も添い遂げるという考えの持ち主で、めっちゃ恐くて重い女です 笑
そのため凪良さんの作品には毎回、愛の刺激を受けまくっています。
わたしは愛する男のために人生を誤りたい。
引用 「汝、星のごとく」
私にとって、この作品はハッピーエンドではありませんでした。読者によって受け取り方が変わる終わり方だと思います。
まとめ
こんな人におすすめです↓
・泣ける恋愛小説が読みたい
・家庭環境に恵まれなかった
・自分の人生に悩んでいる
・他人の目が気になって辛い
どんな環境であっても、自分の人生を諦めてはいけない。
他人と自分を比べることより自分自身から目を背けてはいけない。
他人の目を振り切って、胸を張って自分の人生を生きることの大切さ。
今の自分に必要な本でした。
それにしても切ない・・・